社会・経済ニュースバックナンバー

2018年06月12日号

五輪後の景気失速懸念対応に財政出動
政府が経済財政諮問会議に示した「骨太方針」案で、2019年10月の消費税増税や2020年東京五輪・パラリンピック後に景気を失速させないよう財政出動の余地を確保する考えを示した。また、基礎的財政収支の黒字化は2025年度と5年先送りするとした。財政健全化を図る上で避けて通れない膨らみ続ける社会保障費については社会保障費抑制の数値目標を見送り、高齢化による増加分に相当する伸びに収める方針を示すにとどまった。

南海トラフの長期的被害は1410兆円
土木学会の委員会報告書で、東海地方や西日本を中心とする南海トラフ沿いでの巨大地震や津波による20年に及ぶ長期的な経済的被害額は1410兆円に上ることが示された。内訳では、経済がほぼ回復するとされる20年後までの間に、建物や工場そして個人の資産で170兆円、インフラの破損による経済活動の低迷で1240兆円と試算されている。また、同報告書では、首都直下型地震では778兆円の長期的被害額が生ずるとしている。同学会では「大災害が起これば、日本は最貧国になりかねない」と指摘した。

都、ふるさと納税で五輪会場の銘板に名前
東京都は都への「ふるさと納税」の返礼として、2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場などの銘板に名前を刻む権利を贈る方針を固めた。東京都はこれまで返礼を行っておらず、ふるさと納税制度で寄付者が居住する住民税が控除されるため、都や都内の市区町村での住民税の減収は昨年度だけで466億円に上ることから、減収減に歯止めをかけるため、都独自の返礼を検討してきていた。地方からの寄付のみならず、都民からの寄付への期待が込められている。

買い物弱者、10年間で約150万人増加
農林水産省の推計によると、スーパーやコンビニが自宅から遠隔地にあることに加え、車が使えずに食品購入に苦労する65歳以上の高齢者、いわゆる「買い物弱者」は2015年時点で824万6千人に上ることが分かった。10年前と比べ146万2千人増え、65歳以上の人口に占める割合も24.6%となった。推計では、買い物弱者は10年前と比べ、三大都市圏で44.1%増、地方圏では7.4増と、都市圏での急増ぶりが際立った。

固定電話契約数、ピーク時の1/3に
NTT東西地域会社のまとめによると、2017年度末での固定電話契約数は前年度末比6.9%減の1987万契約となったことが分かった。内訳をみると、加入電話が1754万契約、総合デジタル通信網(ISDN)が233万契約となっている。ピークだった1997年11月の6322万契約の3分の1にまで減少し、2000万契約を下回ったのは46年ぶりとなる。2024年には固定電話の契約者数は1000万程度までに減少するとみられており、通信の主役が固定電話から携帯電話に加速度的に移行していることを浮き彫りにしている。

ウナギかば焼き、2.7トンを廃棄
環境保護団体グリーンピース・ジャパンが大手を含む小売業者18社を対象にしたウナギ販売実態アンケート調査によると、昨年、二ホンウナギなどのかば焼きの廃棄が確認できただけで2.73トン上ることが判明した。1匹200g換算で約1万3650匹が廃棄されていたことになり、土用の丑の日に合わせた過熱する商戦の裏側で、売り切れずに賞味期限を過ぎて廃棄されている実態があり、企業の社会的責任の観点から非難の声も出ている。

家具・家具、危険を認識するも固定せず
国民生活センターが全国1万人を対象にした調査で、地震が来たら危険だと認識しながらも、自宅の家具や家電を器具で固定していない人が46.5%と、半数近くに上ることが分かった。「(一部または大半を)固定している」は40.6%、「危険な家具や家電がないので固定していない」は12.9%だった。同センターの振動試験よると、固定危惧を使用しなかった場合、食器棚は震度6弱相当の揺れで転倒し、冷蔵庫は震度6強相当の揺れで前方に大きく動いたとしている。

徹夜による睡眠不足は認知症リスクに
米国の研究グループは、一晩だけでの徹夜でも睡眠不足になると、アルツハイマー病の発症に関わる脳内アミロイドβ量が増加すると発表した。22~72歳の健康な男女を対象に睡眠とアミロイドβの蓄積を調べたもので、睡眠が十分な場合に比べ、徹夜明けの睡眠不足では20人中19人の脳の右海馬や視床でアミロイドβの増加がみられた。アミロイドβの増加は、対象者が自己申告で評価した「疲れや不安」「イライラ感」と比例していた。

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